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「しちりん」は「七輪」とも「七厘」とも書きます。
「しちりん」の語源については諸説あり、語源の決め手となる文献等も無いようで、
残念ながらはっきりしたことはわかりません。
1.「七つの輪」説
底に7つの空気穴(輪)があるため七輪という説。
「しちりん」の底穴の数は7つとは限らず、「7」にこだわる必要もない
と思われることから、有力説とは言いがたいものです。
現存する七輪でも中央に1つ、その周囲に6つの穴、計7つの穴をあけたものが
多いことから、この説が生まれたものと思われます。
2.「通貨単位」説
わずか7厘で買える少量の木炭で火力を得ることができた。
または、7厘で買える「しちりん」があった。という説。
「厘」は、1871年(明治4年)から通貨単位として使われており、
1円=100銭、1銭=10厘でした。
※1953年に通貨単位としての「銭」「厘」は廃止されています。
「しちりん」は1700年代の江戸時代にはすでに登場していることは明確で、
その当時の通貨単位に「厘」はないため、時代に伴い呼称が変った、などの
事情がない限りこの説にも無理があると思われます。
3.「重量単位」説
わずか7厘の重量の木炭で火力を得ることができた。という説。
「厘」は江戸時代の重量単位として使用されていました。
1匁(もんめ)=10分(ぶん)、1分=10厘で、1匁=3.75gですから、
1厘=0.0375g、7厘は約0.26gとなりますが、
木炭の量としてはあまりにも軽量すぎて話しが合いません。
260gならほどよい量なのですが、それなら「七千厘」にもなるので???
どこかで単位が変ったのか?
「しちりん」はそれまでの囲炉裏や竈(かまど)に比べて、とても簡便で
飛躍的に燃焼効率が高く、少量の木炭でも十分な火力を得られたことは確かです。
そのため、価格か重量かはわかりませんが、「わずか7厘の木炭で使える!」
ということが語源になったものと考えるのが自然ではないかと思われます。
また、何故、「七厘」を「七輪」とも書くようになったのかについても、
明確ではありませんが、主に、円形の「しちりん」が普及したこと、
そして円形の「しちりん」の補強として巻かれた金物が「輪」であることから
「七輪」とも書くようになったのではないかと推測できます。
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