炭火料理がおいしいわけ

炭火料理はほとんどの人が「うめ〜!!」といいます。
たいていの場合、自然に囲まれたお外であったり、
雰囲気のよい炉端であったり、楽しい仲間がいたりと、
料理をおいしくする雰囲気がより一層うま味を引き出しているようです。
でも、気分的なものでなく本当においしく仕上がっているのも事実。
何故おいしくなるのか、理屈を考えてみましょう。
 
※おいしいというのは、それ以外との対比(まずいという意味ではなく、より一層おいしい)
でありますから、どうしても炭火に対抗するガス火のことを書いてしまいます。
ガス会社の皆さん、申し訳ありません。
お湯を沸かすにはガス、お風呂も床暖房もガスに限ります!!
我が家ではエアコンも大阪ガスの製品使ってます。
火起し器で炭火をおこすのも大阪ガス。ご勘弁を・・・。

 

炭火料理は赤外線が命

炭火料理がおいしいわけの80%以上は赤外線よるものと思います。
炭火は強い遠赤外線を発します。と言ってもピンとこないかも。
実感するのは簡単。ガス火をうちわで扇ぎますと熱は風と共に流れていきますが、
炭火を扇ぎますと扇いでいる手が熱くなります。
この突き刺さるような熱さが赤外線によるものなんです。
赤外線は紫外線や可視光線などと同じ電磁波ですから、
風の影響を受けずにうちわに向かって飛んできます。
この赤外線がさまざまな「うまい」の要素を生み出すのです。
赤外線についてはこちらを


   ガス火の赤外線発生量は、約2kw
   炭火    〃     約8kw

   炭火はガス火の4倍も
   赤外線を出しているのです。 


 

七輪も赤外線を発生!!

七輪は珪藻土を素焼きしたセラミックスなんです。
セラミックスは加熱すると強い赤外線を発生します。
また炭の表面の灰もセラミックスで近赤外線を発生します。
これも実感するのは簡単。
ガス火で七輪のかけらをあぶりますと一気に赤外線が発生し、
周囲が熱くなります。陶器のかけらでも同じです。
ですから炭火と七輪は「おいしい」を生み出す最強のコンビといえるんです。
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輻射熱はうま味を逃がしません。

ご存じの方も多いと思いますが、火を使った料理には
「輻射・対流・伝導」の3種類の加熱があります。
輻射による加熱は、食材の周囲には空気しか存在しませんから、
うま味成分を持っていかれないんです。
カニを水炊きにしますと最後の雑炊が格別においしいでしょ。
これはうま味成分が湯の中にどっと流れ出ているためなんです。
グルタミン酸などのうま味成分を閉じこめることのできる焼きガニが、
濃厚でおいしいのは当然の理屈なんです。
また、赤外線の輻射熱は表面を均一に素早く焼き上げて食材を硬化させるため、
内部のうま味を閉じこめてしまう働きがあるんです。
そして、もちろんホクホク感やジューシーな感じをも生み出してくれます。

「所さんの目がテン」によりますと、

  160gの肉を焼いた場合、焼き上がりの肉の重量は 

  ガス火はマイナス22.4g、炭火(紀州備長炭)はマイナス11.7g。

  食材の重量からも
  肉汁を外へ逃がしていないことがわかったそうです。

 
輻射熱のお話

 

表面パリッと歯触り抜群。中はほっかほっか。

赤外線は食材の表面組織を一気に硬化させるため、うま味を外部に逃がしません。
そしてなによりもうまいと思わせる歯触り、食感を作り出します。
「表面パリッ、中はほっかほっか」がなぜおいしく感じるのかは不明ですが、
焼き魚の皮はパリッ、おにぎりの海苔はパリッ、お餅の表面もパリッ、は
おいしいです。
これは日本人独特のこだわりの食感かもしれません(?)

焼き鳥 焼き鳥もこのとおり。

 表面パリッ!! 中はほっかほっか。

 

 

 おいしいお焦げの誘惑

 日本料理は目で食べるものと言われますが、

 まさにこの美しいお焦げは目に効きます。

 

近赤外線は食材の中へ。

近赤外線は食材の中、数ミリにまで達して、
食材の分子を振動させて発熱させることができます。
まるで電子レンジのような働きをするんです。
表面が焼けると同時に中まで素早く火が通ります。
このため魚などは中まで焼けるので臭みがなくなりやすく、
皮は適度な焦げで美味しく焼き上がります。
これを実感するには、お餅を焼くか、焼きナスで体験してください。
ガス火の焼け方とはまったく違うことがすぐにわかります。
灰をかぶった炭 炭をおおうこの灰が近赤外線を多く発生させます。

「所さんの目がテン」での実験によりますと、

  160gの肉をガスと紀州備長炭で焼いた時、
  表面温度が85度になった時の内部温度は、

   ガス火の場合 肉の内部温度は35度

   炭火 〃     〃    55度

   なんと内部温度は20度も違います。

 

燻煙(くんえん)効果

燻煙されると美味しくなる!
燻煙効果は脂が落ちる食材にのみ影響を与えます。
例えば、サンマを焼くと脂が炭火に落ちて煙が発生し、
この煙がサンマに味付けをしてくれるのです。
なんともいえない美味しい煙がいっぱい付着するのです。
魚に限らず、焼き鳥や焼き肉も同じです。
 
※この燻煙効果を嫌って、煙を避けて焼くこともあります。
※脂で炎が上がると食材が真っ黒コゲになるので、炎は避けて焼きます。

 

水分が少ない。

ここからは赤外線とは無関係。
室内でガスストーブを長時間使いますと窓や壁が湿度でじっとりしてきます。
ガス火には水分が多く含まれるためです。
炭火はほとんど水分を含みませんから、
これも表面パリッを作り出す要因のようです。
煎餅、焼き海苔、は炭火に限ります。

 

ミネラル、カリが働く

これは残念ながら実感しにくいのですが、炭に含まれるミネラル分やカリが、
うま味成分アミノ酸を増やす働きをするそうです。

 

ほのかに香る

炭に含まれるミネラルの影響でしょうか、独特な炭の香りが料理を引き立てます。
逆に悪臭のつく木炭もあります。高価な魚介類を入手した場合は特にご注意を。
木炭をケチると食材が泣きます〜。
焼き肉の時には桜やリンゴの木など、
薫製に使う木のチップを香り付けに使うとグッドです。
是非お試しあれ。
ちょっと水で濡らして、炭にぱらぱらとかけて燃やしてください。薫製風味です。

 

1000度の高火力

炭火はそっとしておくと灰をかぶり500度くらいでずっと安定しています。
これをうちわで扇ぎますと一気に1000度にまで上昇します。
この高火力がさまざまな食材を活かします。
焼き鳥の皮などはこの高火力で絶品の逸品となるのです。

 

快楽物質発生!!

炭火料理は焼き上がるまでの間に、視覚はもちろん、
臭い、ジュジュッと言う音などが
さまざまな「うまそう〜!」を演出してくれます。
なんでも脳内に快楽物質(ドーパミン、セロトニン)が発生し、
胃の動きが活発になったり、唾液の量が極端に増えたりするそうです。
犬のようなお預け状態が一層ヨダレを誘います。
空気のよい自然の中では、この傾向がもっと強くなるそうです。
特に子供は敏感で、BBQの時だけたくさん食べたりするのはこのためだったのです。
 


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