◆一酸化炭素(CO)中毒について◆

どのような物質でも密閉空間で燃焼させると大量の一酸化炭素が発生します。
一酸化炭素中毒で人間は死ぬことがあります。
しかし、換気さえすれば一酸化炭素中毒は有り得ないのです!

室内で炭火(七輪・火鉢・囲炉裏)を使用される時は、換気をしてください。

密閉空間で炭火を使用すると一酸化炭素が充満し、人命にかかわる事故となります。



■一酸化炭素(CO)は、無色透明、無臭、の有毒ガスです。

一酸化炭素は、普通に活動している時にも気付かず吸い込んでしまい、
急に倒れることもあるほど気づきにくい中毒です。
特に就寝中はまったく気付くことなく体が動かなくなり、重大な事故に至ります。
火災時の逃げ遅れ原因もこの一酸化炭素中毒によるところが大変多く、
死因の1位となっています。
しかし、むやみに恐れることはありません。
皆さんもすでに何度も体験済みかと思いますが、
炭火焼きの焼肉店・焼き鳥店などでは、常時一酸化炭素を出し続けていますが、
換気をしているのでお酒を飲んでいてもまったく問題ありません。
換気を行えば安全に楽しむことができますので、むやみに恐れる必要はありません。
ガスコンロや石油ストーブなどの使用時と同様に換気さえすれば大丈夫です。

■一酸化炭素は身近な有毒ガス!

そもそも日本人は、数百年以上もの間、室内の囲炉裏や火鉢、竈(かまど)で
一酸化炭素を発生させながら、暮らしてきたのです。
木、紙、布、プラスチックなどあらゆる物を燃やすと一酸化炭素が発生します。
問題は一酸化炭素の濃度なのですが、伝統的な日本家屋は風通しがよく、
自然に換気されていたので、特殊な状況でない限り、事故はなかったのです。

○煙草の煙にも
煙草の煙にも一酸化炭素が含まれています。
そのため喫煙すると酸欠状態になり、頭がくらくらします。
しかし、吸引量が少ないので事故には至らないのです。

■事故の事例

密閉された囲炉裏部屋などで木炭を使用し、死亡事故となったケースがあります。
死にいたらずとも病院に搬送されることは珍しくありません。
特に小さな密閉空間では思いのほか早く一酸化炭素中毒になってしまうようですし、
飲酒などで寝込んでしまうと大変危険です。
一般家庭では、使用する木炭の量が少なく短時間で消えてしまうので、
比較的重症化することが少ないのでは?と想像しますが、命の危険があることは確かです。
注)特に練炭(下記参照)は長時間高火力で燃焼しますので、要注意です。

○うっかり室内へ が原因
庭先で七輪を使っていて、まだ火が残っているので「もったいない!」と密閉された室内へ。
そのまま気づかず一酸化炭素中毒に。

○暑い!ので が原因
夏に囲炉裏で料理をしていて、暑いので窓を閉め切り冷房をかけていて一酸化炭素中毒に。
密閉してしまうのですから当たり前のことなんですが、やはりうっかり!が事故に。

○寒い!ので が原因
冬のキャンプで車内やテントに七輪を持ち込んで、あっという間に一酸化炭素中毒に。
狭い密閉空間への炭火の持込は自殺行為です。
ガスコンロや灯油ランタンなど、とにかく火器の持ち込みは要注意です。

○炭火料理店で事故が!
木炭を大量に使用する炭火料理店でも、実際に一酸化炭素中毒の事故が起こっています。
換気設備の故障や従業員の無知によるものですが、原因は明確で換気不足によるものです。

○多くの事故は・・・
一酸化炭素中毒による死亡事故の多くは火災によるものです。
室内で何かが燃焼すると多くの一酸化炭素が排出され、
寝ている間に中毒になり逃げ遅れるのです。
その他、練炭の使用、ガス給湯器やボイラーの不完全燃焼、
車内への排気ガスの侵入などなど、一酸化炭素による事故は意外に多いのです。

○練炭による事故
練炭は本来七輪や囲炉裏で使うものではありませんが、重大な事故が後を絶たず多くあり、
知らずに使ってしまい事故に至るケースもあるようですので、
事故防止のため紹介させていただきます。

練炭での死亡事故は後を絶ちません。
練炭は一酸化炭素を出しながら、長時間高火力で燃焼しますので、
室内での使用時は十分に注意してください。
車内やテント内での使用はまさに自殺行為です。

練炭


←練炭(れんたん)
木炭とは異なり石炭系の燃料です。
簡単に着火し長時間安定燃焼しますので、
正しく使えばとてもよい燃料で、
昭和40年ごろまで一般家庭に広く普及していました。
今でも根強い人気のある燃料で、販売されています。
専用の燃焼器(練炭コンロ)が必要です。

■一酸化炭素中毒の症状

○室内で炭火を使っている時
一酸化炭素中毒の症状には、頭痛、めまい、はきけなど風邪に似た症状があります。
室内で炭火を使っている時に、もしこのような症状がありましたら、
風邪などと思い込まず、すぐに窓を開けて換気してください。
この症状は一酸化炭素濃度の低い時に出る症状で、
主に一般家庭で少量の炭火を用いている時に出る可能性が高いです。
しかし、テント内や車内など小さな密閉空間では、
このような症状を感じる前に急激な中毒に陥る可能性があります。
また、就寝中は症状を感じることなく中毒になってしまいますので、
就寝前は必ず炭火を消火しなければなりません。

○重症化すると
高濃度で一酸化炭素を吸引すると酸素欠乏により、体が動かなくなり、
意識不明、死亡へとつながります。

○急激な中毒症状
お店で大量の一酸化炭素が充満していた場合、
入店後数秒で意識が無くなり倒れたという事例があります。

■室内で炭火を使う時は・・・

七輪・火鉢・囲炉裏など室内で炭火を使用する際はもちろん、
とにかく室内で火を使う時は、燃料の種類を問わず、必ず換気が必要です。
換気の方法は炭火の使用量、木炭の種類、部屋の広さなどから、
その方法を決めることは困難です。
炭火は主に料理に使われると思いますので、調理による煙も発生しますので、
常に換気扇を使用していると何よりも安心です。
炭火使用中は常に台所の換気扇をONにするなど、習慣としてください。
また、就寝時は必ず消火してください。地震による火災なども考えられますので・・・。
★テント内、車内など小さな密閉空間での使用は自殺行為です。

■一酸化炭素は、無色・無臭です

一酸化炭素は、無色透明で臭いもありません。
人間がその濃度を測り知ることは不可能です。気分が悪くなってからでは遅いのです。
そのため常に換気を心がける必要があります。

■どういう時に発生する?

一酸化炭素は、様々な物質が不完全燃焼(酸素欠乏で燃焼)した時に発生します。
ただ、いくら酸素があっても燃焼のさせ方や燃焼の種類により常に発生するのです。
例えば、ガス器具の故障により、新鮮な空気のある場所でも大量に発生して
事故に繋がったケースが多くあります。
炭火は黒い部分が赤く燃え移る時に多く発生する、白炭(備長炭)より黒炭から
多く発生する、と言われますが、ガス器具同様に
燃焼方法によっても大きな差があると思われます。
そのため基本的にいつでも発生していると考えるべきです。
はっきりした実験データがありませんが、炭火はどのような条件下でも、
濃度の差はあっても、常に一酸化炭素を発生させていると言われています。

■どこに溜まる?

一酸化炭素の比重は、ほぼ空気と同じです。
そのため、上の方、下の方と特定することはできません。空気の流れによって漂うのです。
一酸化炭素の発生源には炭火の熱がありますので、その熱の上昇気流にのって、
まずは上方向に向かうと考えるのが自然です。
その後、隙間から上階へ抜けていったり、部屋中を循環したりすることが考えられます。
地下駐車場の車のエンジンをかけっぱなしにして、
2階3階の人が一酸化炭素中毒で亡くなった事例がありますが、
これもエンジンの熱の上昇によるものかと思います。
しかし、その家の構造や気象条件によっては、空気の流れで
下へ向かう可能性もありますので、溜まる場所は特定できません。

■警報機の設置について

一酸化炭素中毒を防止するため、警報機の設置はとても有効かと思います。
特に、囲炉裏や火鉢など長時間炭火を使用する環境にある場合は、
できるだけ設置すべきかと思います。囲炉裏端で寝てしまうことは容易に考えられます。
火災時には一酸化炭素が発生しますので、火災報知器としても機能します。

○「一酸化炭素警報器(CO警報器)」が必要です
一般的な火災警報器(煙感知・熱感知)では、一酸化炭素を感知できません。
日本で販売されている火災警報器の多くが、煙感知、熱感知式ですので、
残念ながら一酸化炭素は感知できないので、必ずご確認ください。

○警報器の購入は?
(まず、設置確認を)
一酸化炭素(CO)警報器は、ガス器具をご使用の家庭ですと、
すでに設置されていることがあります。
ガスの不完全燃焼で一酸化炭素が発生しますので、ガス会社は設置をすすめています。
もし、木炭を使用する部屋に設置されていて、設置場所も適切でしたら、
別に設置する必要はありません。
ガスから出る一酸化炭素も炭火から出る一酸化炭素も同じですから、
同様に検知して警報を鳴らします。
※取り扱い説明書で一酸化炭素(CO)検知機能があるかを必ずお確かめください。

購入方法ですが、一般のお店などであまり見かけるものでなく、
専門店でない限り信頼できる製品を選択することは難しいと思います。
「一酸化炭素警報器」を検索して、インターネットで購入する方がよいかもしれません。
アメリカでは日本と異なり火災警報器として一酸化炭素検知を用いることが多いようで、
アメリカ製品の販売も多いです。
ガス器具をご使用でしたら、ガス会社に設置を依頼できるかもしれませんが、
ガス会社はあくまでもガス用に設置することが前提ですので、
ガスのない部屋や希望の位置には設置してもらえないかもしれません。

一酸化炭素警報器

当店でも販売しています

メーカー保証 5年付き
一酸化炭素(CO)警報器

○警報器の過信は禁物!です
警報器は所詮機械です。
故障もしますし、数年で寿命となり、電池も無くなります。
あくまでも最終警報!としておき、警報器に頼らず必ず換気すること
何よりも肝心です。

 

一酸化炭素中毒とは関係ありませんが、役に立っていたこともありますので、
参考まで・・・。

■一酸化炭素でバスが走る!
木炭を不完全燃焼させた時に出る一酸化炭素(CO)などを木炭ガスといいます。
木炭が生み出す特殊なガスではなく同じCOです。
では何故、「木炭ガス」という固有名称があるのかといいますと、
戦中、戦後にガソリンの配給がなくなり、ガソリンエンジンのトラックやバスを走らせる
代替燃料として、木炭ガス(CO)が使用されたためです。
「木炭(黒炭)」から、COを取り出すための木炭ガス発生装置を搭載したトラックや
バスなどの木炭自動車が全国的に普及したのです。
COにはガソリンほどのパワーはありませんが、とりあえず車を走らせることができたので、
仕方なく使っていたのです。坂道は登らず、運転に技術が必要だったようです。
当時、一般家庭の燃料として使われていた木炭ですが、燃料不足のため原木が少なくなり、
現在主に使われるナラ、クヌギ、カシのみならず、サクラ、ツバキ、クリ、コナラなどなど
様々な広葉樹を使用していたようです。
備長炭などの「白炭」からは発生量が少なく、
エンジンを動かすことはできなかったようです。


木炭バス。1941年。
後部に「木炭ガス(一酸化炭素など)発生装置」が搭載されている。
毎日新聞社「一億人の昭和史 銃後の戦史」より。

 


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