「これ食べた〜い」は、なによりも炭火好きで食いしん坊の私が、
どうせなら写真でも撮って皆さんに紹介しよう、
皆さんから情報を集めよう、ということでスタートしました。

これから七輪料理を始めようという初心者の方々でもわかりやすい
七輪料理講座としてやっていこうと思います。
といっても私自身勉強しながらのご紹介ですから大したことはない・・・です。
気分次第のスローペースですが、
延々に続ける特集として炭火料理をご紹介していきます。
ちょっとだけ「通」になってください。

そして七輪料理を楽しんでいる皆様、是非メールください。
どんな情報でも大歓迎です。

 

vol.3   
        ハマグリ

 

はまぐり焼き上がり

 

栗の実ににているため『浜栗』という説が有力だとか・・・。

協力:波崎漁業協同組合
波崎漁業協同組合

 

蛤の基礎知識

 

はまぐりを手に

 

これは国産天然7年ものの「鹿島灘のはまぐり」。
最大で10cmほどにまで成長します。
普段見るものとはまったく違いますね。
1人の漁師がわずかに、年に10日程度、
1回の漁は1時間以内という
厳しい漁獲制限の中で捕獲したもの。

 

●10%が国内産、90%は輸入もの。

私たちが普段食べているハマグリは、
中国や台湾、韓国から輸入されたものがほとんどで、
市場に出回っているものの90%が輸入もの。
輸入されたものを直接販売する場合と
日本で数ヶ月間蓄養してから販売されるものがあります。
国内産は漁獲量が極めて少なく、
漁を厳しく制限されています。

 

●一口にハマグリと言っても種類が違うのです。

同じハマグリでも国産天然のものと輸入ものは別種。
輸入ものにもシナハマグリの他、いくつかの種類が
あるようです。種類によって、身の大きさ、肉厚、
味の全てが変わるようです。

 

●外洋性と内湾性がある。

天然の国内産でも、
写真の鹿島灘(茨城県)のものは「外洋性」、
桑名の焼きハマグリで有名な伊勢湾(三重県)のものは
「内湾性」でこれまた別種だそうです。
残念ながら環境汚染などで天然ものの内湾性のハマグリは
激減してしまったそうです。
現在主なところ、外洋性は鹿島灘ハマグリ(主に茨城県)が
年に1000トンぐらいの漁獲、内湾性は主に熊本県産で
300トンぐらいの漁獲となっています。

 

●ハマグリのナカから出てくるカニはナニ?!

ハマグリを食べていると時々小さなカニが出てきます。
ご存じですか?
これはカクレガニの仲間の主に「カクレピンノ」で、
ハマグリと共生しているのです。
ハマグリが食べたものではありませんのでお間違えなく。
ちなみにハマグリのエサは植物プランクトンだそうです。

 

●囲碁に使う碁石の白玉はハマグリ。

碁石の白い玉はハマグリからできています。
といってももちろん高級碁石のみですが、
昔から白はハマグリ、黒は和歌山県の那智の黒石が
最高とされているそうです。
現在はその多くが日向(宮崎)のスワブテハマグリ
(スワブテはふちが分厚いの意味で鹿島灘ハマグリと同種)
の海底に沈んで化石化した貝殻から作られ、
一つの殻から一つの碁石しかとれないそうです。

 

お料理の前に

 

おいしそうな焼きはまぐり

 

●ハマグリの選び方

貝殻が力無く開いていたり、臭いのするものは避け、
殻をぶつけるとカチカチと固く澄んだ音のするものを
選びましょう。アサリと違い模様のはっきりしたものが
よいとはいえません。
焼きすぎると美味しくなくなるので、
できれば生でも食べられる活きたものが理想的です。

 

●旬は春ですが。

ハマグリは夏に産卵するため、最も美味しいのは
体内に栄養を蓄えた春ごろと言われています。
魚のように特にこの時期に限る!なんていうことは
ないようですが、産卵期は精巣、卵巣を持つため
雄雌により味に違いがあります。
といっても外見では雄雌の区別はつきませんが・・・。

 

●砂のはかせ方

3%程度の食塩水(水1リットルに対して塩30g)で
底の平たいトレーに入れて、真っ暗にして
数時間からできれば一晩置いてください。
水温が低すぎると冬眠状態になり動かず砂をはきません。
15〜20度くらいが活発に動くようですが
温度が高すぎると死んで腐ってしまうこともあるので
注意してください。
また、海水が濃すぎると脱水症状で死んでしまうことがあり
料理をしても塩辛くなってしまいます。

 

●保存

新鮮なハマグリなら冷蔵庫で一週間くらい保存できます。
条件がよければ冬眠状態で数日間も活きています。
また、長期保存は味が落ちますが、冷凍保存も可能です。

 

 

「汁をこぼさず!食べる」ハマグリの炭火焼き

新鮮なハマグリは、内部にたっぷり海水を吸い込んでいます。
また、身にもたっぷりの美味しいお汁を含んでいます。
この海水とお汁とが混ざり合い絶妙な美味しさを生みだすのです。
この美味しいお汁をこぼさず欲張って食べる方法のご紹介です。

 

焼く前の3つの心得

 

★ 汁のために
  汁を捨てるのです!

 

ハマグリの主な旨味成分は日本酒と同じコハク酸です。
このコハク酸などの旨味成分が貝内の海水に溶け込むため、
ハマグリの汁が美味いのです。
コハク酸は熱くなると海水に溶けだします。
新鮮なハマグリはたくさんの海水をのみこんでおり、
加熱により最終的には半分以上の汁を吐き出してしまう
のですから、加熱されて旨味が溶け出す前にある程度の
汁を捨てるのが秘訣です。
そうです、濃厚な美味しさを味わうために
余分な汁を捨てるのです。

 

★ やっかいなことに
  身は上に付くのです!

 

ハマグリの身は熱が加わった方、つまり炭火のあたる下側が
はずれます。これがやっかい!なんですね〜。
焼けてパックリ開いたハマグリの身は、
必ず焼けていない上側の貝殻に付きます。
テレビCMのように下側には残りませんので
それなりの対応をしないとバランスがくずれ、
あえなくひっくりかえって汁も流れてしまいます。

 

★ 焼きすぎは禁物です! 

 

新鮮なはまぐりは生でも食べられます。
焼きすぎは身が縮み、美味しくなくなります。
汁をたっぷり身に含んで、
丸々と太っているうちに食べましょう。
たくさん焼かずに、
1人で1つのハマグリを大切に焼きましょう。

 

★潮干狩りで捕ってきたハマグリは貝毒の可能性がありますので注意が必要です。
 

 

準備品

 

絶対に必要なもの : 熱いハマグリをつかむための
           トングまたは軍手。

好みで必要 : 酒・醤油・小さなスプーン、
        三つ葉・アサツキ・ネギ・ユズなど

『お料理−その2』では : 貝むき

あれば便利 : シイタケのくき、など
        ハマグリをささえる台

 

洗う

 

海水に浸かっている場合は、海水内で洗ってください。
淡水を吸い込むと味が落ちますので、
なるべく淡水では洗わないようにしましょう。
炭焼きの場合は、貝殻が汁に浸かるわけでもないので
海水がなければ洗わずに焼きましょう。

 

お料理−その1

 

蝶番を切り取ります。

 

●蝶番を切り取る

蝶番(ちょうつがい)を切り取ります。
蝶番を切りとると、加熱しても貝殻が開かなくなります。
蝶番は貝殻と違い柔らかいので、包丁で簡単に切れます。

切り取ったらこんな感じ 蝶番を切り取ったところ

焼けるとパカッ!と開くハマグリには魅力を感じますが、
残念ながらこれをやるとほとんどの場合、
バランスがくずれてお汁がこぼれてしまいます。
特に大きなハマグリは蝶番を切り取る方が無難です。

 

ひとつづつ丁寧に焼きます。

 

●1人で1つを焼く

1人で面倒を見られるハマグリの数は2つ程度まで。
一度にたくさん焼かず、1人あたり1つ程度にして、
丁寧に焼いてください。
素早く焼きあげる方が美味しく、
焦げるわけでもないので比較的強火で焼いてください。

ホタテ貝のように表裏はありませんので、
どちらの面を焼いてもかまいません。
シイタケのくき等で安定させて焼きます。

 

トングではさんで

 

●汁を捨てる

このタイミングを見逃さずに!
少し口が開き、ちょっとだけ汁が吹きこぼれた瞬間を
逃さず、トングではさんで汁をきります。

☆注意
焼いていた面を覚えておきましょう。

余分な汁をきります。加熱により旨味が海水に
溶け出す前に余分な海水を
吐き出させます。
大きなハマグリは
炭火が消えるほど沢山の
汁(海水)をはきだします。

 

さっきより大きく口を開けたところ

 

●同じ面をもう一度焼く

先ほどと同じ面を下にして、
汁がこぼれないように姿勢を整えてもう一度焼きます。
焼けた方の身が貝殻からはずれますので、
必ず同じ面を下にして焼いてください。

先ほどよりやや大きく口が開きましたら、
焼けた面を上にしてお皿にとります。

☆あまり大きく口が開いてしまうとバランスが崩れて、
 汁がこぼれます。

 

ナイフで貝殻をはずします。

 

●貝殻をはずす

必ず焼けた面を上にしてお皿にとります。
ナイフなどを差し込むと簡単に貝殻がはずれます。
※もしはずれなければ、まだ焼けていません。

 

殻を開けて安定させて焼きます。

 

●安定させて焼く

椎茸のくきなどで汁がこぼれないよう
ハマグリを安定させて焼きます。

グツグツ煮えればできあがり。
好みにより三つ葉やアサツキをどうぞ。
☆焼きすぎは身を縮めてしまうので注意しましょう。

 

味付けなしで食べましょう。

 

まずは何も味付けせず食べましょう。
よいハマグリは味付けなしで絶品です。
どこからこんな味が生まれるんでしょう。

これは鹿島灘のハマグリ。
余分な味付けは禁物です。


鹿島灘のはまぐりは身でいっぱいですから
汁のことなど忘れてしまいます。

身の中にも汁がにいっぱい! これぞ日本の味です。
是非お試しください。


『産地直送!鹿島灘はまぐり』の
ご注文、お問い合わせは

波崎漁業協同組合 波崎漁業協同組合

E-mail jj1wzw@olive.ocn.ne.jp

TEL 0479-44-1122
   ※日曜・祝日を除く 9:00〜17:00
    土曜 9:00〜12:00

 

醤油で味付け。

 

●味付け

味付けする場合は、醤油や酒を小さなスプーンで入れます。
ハマグリはもともと塩分を含みますので、醤油は控えめに。

 

お料理−その2

 

●貝むきで開けてから焼く方法です。
 貝を開ける手間を除けばもっとも無難で簡単すが、
 なれないと開けるのがやっかい・・・。

貝むき○貝むき
 料理道具のお店で売っています

 

貝むきを差し込んで貝を開けます。

 

●貝を開ける

やや口が開いている状態で
ハマグリをそっと置いておきます。
ハマグリに刺激を与えず、口を閉じないうちに
すばやく貝むきを差し込みます。
どちらかの面の貝柱を左右共に切ると貝が開きます。

☆口を閉じてしまうと簡単には貝むきが
 差し込めなくなります。
 特に新鮮で大きなハマグリは
 強力に密着してしまいます。
 その場合は、少しの間炭火で焼いて
 口を開かせてください。

 

殻を開けたまま焼きます。

 

●開けた状態で焼く

身の回りの海水を捨ててから、
ハマグリを安定させて焼きます。
ふきこぼれそうでしたら、
沸騰する前にさらに汁を捨てます。

 

貝の身を返します。

 

●身を返す

グツグツと煮立ちましたら、すぐに身を裏返します。
※加熱により身がはずれたらすぐに返しましょう。

 

焼き上がり。

 

●完成

再度グツグツときたらできあがりです。

 


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